その他部活動

DATE:2025.04.22その他部活動

ティモンディ前田裕太さん インタビュー前編

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自らの大学生時代について話す前田裕太さん(撮影?前田琴音)

4月1日発行の第115号で新入生に向けてエールを送っていただいたお笑いコンビ?ティモンディ前田裕太さん。紙面では掲載しきれなかった部分を含めた拡大版の前編をお届けします。

――駒澤大学に進学した理由と大学ではどのような生活を送っていたのか
「駒澤に決めた理由はこれだというものはなくて、渋谷が近いしというくらいのニュアンスでしたね。学生生活は、他の大学の人たちと法律について交流する法律研究サークルに入っていた。サークルに入って思ったのはどこの大学に入るかではなくて、その大学で何をするかの方が大事だということ。早稲田の方が偏差値では上だし、就職の際に響きが良いのも早稲田だと思うんですけど、ふたを開けてみると早稲田生でもいろいろな人がいるし、学生生活で就活を見越してという点や学生生活を充実させるという点においても、どこに行くかではなくてどこで何をするかの方が大事だと感じましたね」

――高校時代は野球に打ち込んでいて、大学に入学して勉強するのに難しい点もあったと思うが、どのように勉強をしていたのか
「大学の勉強は大学で一からスタートするものが多い。事前知識を求められるものは意外と多いわけではなくて、野球しかしてこなかったが勉強にしんどいものがあったかというと英語以外はなかったですね。ただ、英語に関しては中学英語で止まっていたのできつかったです。英語以外の授業は楽しかった。受講していない授業を受けたりもしていた」

――交友関係に不安を持つ新入生も多いと思うが、 学生時代どのように交友関係を広げたか
「1年の時は大学で友達を作りに来たわけじゃないみたいなひねくれた考えを持っていた(笑)。少人数クラスでクラスメイトとLINEの交換くらいはしていたものの、全然会ってはいなかった。ちゃんとした交友関係がスタートしたのはサークルとゼミが始まったくらいの時。自分の中で1年生の時から友達作ろう、休日たくさん誰かと遊ぼうということを4年間ずっとする意味はそこまでないのではないかと思っている。顔見知りや友達はいっぱいいた方が良いとは思うが、社会に出たときに意外と一人の時間をしっかりと確保しないとできないものがたくさんあると思う。1年生の時はキラキラした大学生活に憧れるとは思うが、いずれそういう時期は来る。サークルに入れば楽しい時間を過ごすことはできるが友達と遊んでたり、ゼミの活動をしたりしているときに就職先ここがいいってなることはあまりないと思う。サークルの中でやることは限られているし、僕の場合なら法律を研究することだから法曹界で経験できることしか職業の未来は見えない。僕がどこで将来に対していいなと思ったかというとアルバイトなどの学生生活ではないところや駒澤の図書館で本を読んでいる時間などの一人の時間だった。もちろん交友関係も大事だし、不安に思う人もいっぱいいるとは思うが、それが全てでもないなと思う。自分自身が豊かになったなと思うのは一人の時間で知識だったり、経験だったりをした上で大学生の交友関係の中に入れたこと。サークルに入ったのは2年次の時で、1年次は何にも入っていなかった。もちろん寂しさもあるとは思うんですけど、一人の時間は意外といい経験になる」

――大学生活を充実したものにするためのアドバイス
「個人的には視野を広げることが大学生活かなと思っている。会社に行くと売り上げを上げるという目的の下、企画や運営や営業などを求められる。しかし、大学生活の中ではそんなことは求められないし、目的がないことをたくさんしたらいい。これをやって何になるのだろうということをたくさんやることで視野が広がることがたくさんある気がしている。僕は大学生の時に相方の高岸(宏行)と休みの日に糸電話をしていた(笑)。やっている瞬間は楽しいし、やって何になるのだろうと思っていた。実際に何にもなっていないが、そういうことをたくさんやると結果的に勉強の息抜きにもなったし、いろいろなことが巡り巡って思い出にもなる。最終的にこんなこと楽しかったな、じゃあこういう仕事をやってみようかなというきっかけにもなりかねるようないい経験だったなと思う。就職のためにボランティアするとか、成績を良くするためになどと打算的に考えすぎてしまうが、打算的でなくていいのが大学生活なのでなるべく打算的ではない行動、矛盾にはらんだ大学生活を送ってほしい」

――一人暮らしをする際にどのようなことに気を付けていたか
「一人暮らしの観点から気を付けていたことは1限に寝坊しないようにすること(笑)。高校時代から寮生活をしていたため1人で生活することは自分にとってはイレギュラーなことではなかったが、寂しさというのはあった。変化に寂しい感情が合わさるとマイナスな出来事に捉えられがちだが、寂しさと向き合えないと大人になれない。これから先、いろいろな感情と出会う上での慣らし期間だと思う。その時に心を支えてくれるものが後に職業として生かしていけるかもしれない。僕は本を読んでいて心を救われる部分があり、それが血肉になったことで執筆のお仕事を苦に感じなくなった。ある意味、自分を見つけられる期間だと思う。 寂しくて辛い、誰にも話せる場所がないと思った時こそ本当に大事なものが見つかると思うので、不安だと思うが怖がらないでほしい」

――大学生時代のアルバイトが今の職業につながっていることはあるか
「塾講師を1年次から7年間やっていた。同じ事務所のサンドウィッチマンの富澤(たけし)さんのお子さんの家庭教師を塾講師を辞めた後も続けたり、ハライチの澤部(佑)さんのお子さんにも教えたりしたことがある。仕事で説明するのが上手だということでいろいろお仕事をもらうが、わからないものや初めて聞くものを人にどのように説明すればわかりやすいか、興味の持てる話の入り方は何かなどと塾講師時代に授業のクオリティを上げようとして考えていたのが生きた。また、イタリアンレストランで1年間ほど掛け持ちでアルバイトをしていたこともあって自炊するようになったし、番組で料理の企画をやらせていただくこともあった。スキルが身につくようなアルバイトは非常にいいと思いますね」

――今の大学生は時間がないなどの理由で読書をする機会が少ないが、前田さんが思う読書の魅力とは何か
「昔の人が娯楽に割いていた時間がスマホに置き換わっただけで、時間は24時間みんな等しくあるので、それを何に割り当てるかだと思う。自分もスクリーンタイムが5時間だったのを1時間までにするようにしたらかなり暇になってしまいやることがなく、結局またスマホを見てスクリーンタイムが伸びるというような悪循環になってしまうことがあった。その暇な時間を何かやりたいことを見つける時間にしてほしい。                      本に関して言うと、本を書けと言われたら多くの人が1番衝撃的だった経験を本に書くと思う。本には過去の何万人もの人の経験が書いてあるので、絶対に自分の中で面白い経験だな、参考になるなと感じられる人がいると思う。入り口は尊敬する人が書いた本からでもいい。僕は甲子園に行けず、自分には価値がないなどと思ってしまうくらい辛かった時期に救ってくれたのが小説だった。価値観を広げてくれるものなので、辛い時こそ本って良いなと感じる。楽しませようという前提の下、いろいろな価値観を教えてくれる。いい先生がたくさんいるというのが本だと思う。小説は人生の講義のようなものをしている人がたくさんいる。参考にならない本があるかもしれないがそれも含めて学びになり、人格形成ができたり見る世界が広がったりする」

――高校時代、野球に打ち込んでいたと思うが、何かに熱中することで得たことは何か
「努力の仕方というのは、当時の高校時代に野球に熱中したことで学んだ。東大生と比べたら自分の脳みそは大したことないし、駒澤生の脳みそと東大生の脳みそのみで比較すると知性という観点だけで見ると優劣は明確。だが、社会に出て経済的に幸せかという指針を見た時に、全員東大生の方が勝利するかというと、全くそのようなことはない。自分の能力?好きなもの?やりたいことを見つけやすいのは精神的に余裕があったり、いろいろなものに挑戦してみて自分の好き嫌いがたくさん分かっている人の方。そのような人たちが結果的に好きな仕事をしている。先ほど言った東大生の例ではないが、別に生き物としての優劣で劣っているから幸せではないかというと、全くそのようなことはない。熱中できることを見つける時期が4年間なのではないかと思う。そして、熱中できるものを見つけるまでが正直しんどい。みんな好きなものや好きな音楽の歌詞は覚えようとしなくても覚えられる。熱中はスキル獲得を容易にし、好きなジャンルでいうと能力が伸びる。一番大事な要素になってくる。そして、みんなそれだけのポテンシャルを持っている。だが、僕も含めて熱中できるものをなかなか見つけられないでいる。スマホの中で感動したものは恐らく覚えていない。4年間せっかく時間があるのであれば、自分の肌で感じられるような何かを繰り出して、そして熱中できるものを見つけてほしいと思う。熱中できる良さはと言うと、今まで全て苦だったものが苦ではなくなるところではないかと思う」

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お笑いコンビ?ティモンディ前田裕太(左)と高岸宏行(右)(提供?グレープカンパニー)

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ。神奈川県出身。グレープカンパニー所属。2015年1月1日、済美高(愛媛県)の同級生であった高岸宏行(32)とお笑いコンビ?ティモンディを結成。同年3月、駒大法学部卒業。お笑い番組への出演にとどまらず、子ども向け番組のMCや本の執筆など幅広い芸能活動を行っている。

聞き手:菅原稜太?蓮見あい

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