時間だけは皆に平等。有意義に過ごせるかどうかで将来が変わってくる
インラインホッケー日本代表?消防士(東京消防庁) 西永 健太郎 さん
- インラインホッケー日本代表?消防士(東京消防庁)
西永 健太郎 さん - 1989年兵庫県生まれ。2012年経営学部経営学科卒業。4歳から北海道で暮らし、8歳からアイスホッケーを始める。大学時代はアイススケート部に所属しながら、社会人のインラインホッケーチームに参加。卒業後は単身渡米し、本場のインラインホッケーを経験。帰国後は消防士となり日々の任務に励みながら、インラインホッケー日本代表として世界に挑戦し続けている。
インラインホッケー日本代表、消防士、そして駒澤大学アイススケート部監督。二刀流ならぬ三刀流で活躍されている西永さんにお話を伺いました。
アイスホッケー、インラインホッケーとの出会いを教えてください。
アイスホッケーは、小学2年生の時に友だちから誘われて始めました。北海道では、幼稚園でもスケートの時間があったり、小学校の体育の授業で滑ったりしていましたから、元々身近なスポーツではありましたね。そのまま中学でも続けて、高校は駒大苫小牧に行きました。駒大苫小牧高校のアイスホッケー部は日本一に何度もなっている強豪ですが、僕は進学科に入ったので、体育科じゃないとアイスホッケー部には入部できなくて、実は高校では部活動はしていないです。それで高校生ながら社会人のアイスホッケーチームに所属していました。苫小牧のスケートリンクでは夏場の2ヵ月ほど氷を溶かすのですが、その溶かしたリンクで社会人の方がインラインホッケーをやっていて、そこで誘われたのがインラインとの出会いです。インラインホッケーは、アイスホッケーと似ているところもありますが、ボディコンタクトが禁止などルールや戦術も違います。また、止まるのが難しくて、最初はなかなか上手に滑れませんでしたね。それでも滑れるようになるとインラインの方が面白くなりました。
駒澤大学では、どのような学生生活を送られましたか?
北海道ではインラインホッケーは夏しかできないので、専用のリンクがあって一年中インラインができる東京に行こうと決めました。駒澤大学に入学しましたが、大学の部活動ではインラインはできないので、社会人のインラインホッケーチームに所属しました。だから実はアイスホッケーについては、そこまでやる気はなかったです。ところが、大学のアイススケート部でもアイスホッケーの春大会に出られると聞いて、時間もあったので、入部する気もないのに部の練習に参加しました。結局そのまま入部することになりまして、今では監督までやっていますけど(笑)。ただ東京は、北海道と違ってアイスホッケーの練習環境が良くなくて、大学生や社会人チームがスケートリンクを借りられる時間は、一般開放や子どもたちの練習が終わった後の日付が変わってから。ですので、インラインホッケーの練習をして、その後、深夜からアイスホッケーの練習に行くこともありましたし、土日は両方の試合が被ることもありましたね。だから1年生の時は東京での生活に慣れていないこともあって、結構きつかったです。さらに、ホッケーは道具にお金がかかるので、ラーメン屋や日雇いなど、アルバイトも沢山して、部費や生活費を賄っていましたね。
大学卒業後、アメリカに行こうと決心されたきっかけは?
インラインホッケーを続けたいという思いはずっとありました。大学2年生の時にインラインホッケーの日本代表に選ばれて初めて世界選手権に参戦したのですが、そこで世界のレベルの高さを知ったという経験が大きかったですね。その時に味わった悔しさもあって「人生は一度きりしかない。就職活動はしないで留学しよう」と決めました。大学卒業後にインラインホッケーの本場であるアメリカへ留学することを決意して、リンクに近い語学学校を探しました。あとは、現地でそのリンクに行って「練習させてくれ」と直接交渉。行き当たりばったりですね(笑)。そこからは、午前中は学校で勉強して、昼食をリンクで食べて、午後は練習という毎日でした。
帰国後、消防士になられた理由は?
アメリカで通っていたリンクの隣が消防署だったり、親族や友人に消防士がいたりと、身近に見ていて憧れの気持ちを持ったというのがきっかけです。アメリカでは消防士はヒーローで社会的にすごく尊敬されている職業ですし、日頃から人の役に立てる、誇りを持てる仕事に就きたいと思っていました。
今後の目標を教えてください。
4年に一度開催される2021年ワールドゲームズへの参加資格を得るために、来年の世界選手権でベスト8に入ることが目標です。また、仕事の上でも、選手としても、今まで以上に言動や行動に自覚をもって、しっかりとやっていきたいと思います。
現役学生に向けてメッセージを。
学生時代は目標がなくてもいいので、遊びでもバイトでも何でもいいから、何かに向かって一生懸命にやってほしいと思います。全力でやらないと見つかるものも見つからないですし、何かを得るチャンスも逃してしまう。時間だけは皆平等ですので、時間を無駄にせず有意義に過ごしてほしいですね。そこで何をやるかで、将来が変わってくると思います。
※ 本インタビューは『学園通信339号』(2019年10月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。