交通網の寸断
台風10号は、日高山脈や石狩山地など山地に大量の雨を降らせ、交通網が寸断しました。
JR北海道の状況
北海道の東西を結ぶ、石北線、根室線、石勝線が不通となったために、北海道の東西で鉄路が寸断される状況となりました。札幌から鉄道で釧路に行くことも、網走に行くこともできなくなったわけです。貨物輸送もできません。このような事態にはこれまでなったことがないと思います。 なお、日高線は、鵡川~様似間で、台風10号の前から不通となっていました。 宗谷線は、台風10号の後、9月6日の記録的な大雨で不通となりました。 災害から1年が経過しましたが根室線(東鹿越~新得)、日高線(鵡川~様似)は、復旧しておらず、代行バスが運転されています。 (2017年8月27日追記) 2016年12月、JR北海道は、経営難により、単独で維持不可能な線区について公表しました。復旧工事の費用は、JR北海道にとってかなりの負担になっているようです。 |
十勝の被害
十勝毎日新聞の写真(被害写真がみられます) |
茶色の蛇行している川が佐幌川で、手前から奥に流れる。右の山が新得山でスキー場がある。新得山の向こう側にパンケ新得川があり、佐幌川に合流する。この合流点付近で泥流が溢れ、JR新得駅構内に流れ込んだようだ(パスコ(新得町の写真を参照)。空中写真ではわからないが、下新得川橋は橋脚ごと流されてしまった。新得駅は、根室線と石勝線の交通の結節点であり、新得が被害を受けると、東西の交通網に大きな影響がある。 (地理院地図)(地理院地図3D動作重い) |
奥から手前に流れる十勝川が右岸であふれた様子。橋は流されていないが、市街地側の交差点付近の道路が茶色く変色していることから市街も冠水したことがわかる。罐詰工場が被害を受けスイートコーンの出荷ができなくなった。(地理院地図) (地理院地図3D動作重い) |
帯広空港近く。手前が札内川、奥が戸蔦別川。 左から右に流れる。合流点付近で両川の間が越水したよう。太陽電池パネル周辺から写真左方向に泥流が広がったようにも見える。両川の上流部では400~500ミリの記録的な大雨となった。 (地理院地図) (地理院地図3D動作重い |
十勝の雨量と水位
29日より雨が断続的に降り続いており、雨の降り方は次第に強まっていった。十勝川の芽室太、札内川の上札内とも、30日深夜に、これまでの最高水位を超えている。 |
高度と雨量の関係
東南東からの暖湿気が日高山脈によって強制上昇し雨雲が強化されたとみられます。tよって、標高の高いところほど雨量が多くなりました。 十勝平野では概ね100~200ミリでしたが、標高500m以上では雨量が200ミリを超え、周囲の山地の高度が標高1500mになると300~500ミリの大雨となりました。 |
最高水位の記録更新
十勝川水系にある18か所の水位観測所のうち12か所で既往最高水位を超えました。帯広(十勝川本流)は2位でしたが、1981年以降では、最大の水位でした。 |
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被害に遭われた方に、お見舞いを申し上げます。早期の復興を祈念します。
地理学科の講義用の資料ですが、これから現地調査される方のお役に立てればと思います。
また、防災教育等で活用され、将来の人的被害の軽減につながればと願っています。
(2016年9月11日作成、2017年8月29日加筆修正、2024年8月9日修正)