熱海伊豆山土石流(2021年7月3日)

地上天気図(気象庁)

九州から関東の南岸沿いに梅雨前線が停滞していた。東海?南関東には湿った空気が流れ込みやすい状況が続き、前線の活動は活発であった。

時間雨量グラフ

1時間毎の雨量では、30㎜以上の激しい雨は降っていない。7月1日以降、強弱を繰り返しながら、長時間降り続いたことにより大雨となった。

累積雨量マップ

7月1日~3日10時の雨量は、富士市、沼津市、裾野市、長泉町、三島市、熱海市、箱根町、湯河原町で、
500mm以上になったものとみられます。上の画像をクリックすると動画がみられます。

(動画作成:藤富郷)

土砂キキクル(危険度分布、気象庁)

2日23時50分段階で、静岡県内に濃い紫(極めて危険)が現れ、
3日7時40分には、濃い紫の領域が静岡県内に拡大している様子です。
土石流が発生した3日10時30分頃には、熱海市全域が濃い紫の表示となっていました(拡大)。
危険度分布の情報は、、スマートフォンでもみることができます。(こちら

 

予想雨量の検証(2日6時~3日6時)、予想雨量は気象庁府県情報より

    ①24時間雨量 ②予想雨量 ①/②
箱根 神奈川 489.0mm 180mm 2.72倍
川根本町 静岡 341.0mm 250mm 1.36倍
三倉 静岡 329.5mm 250mm 1.32倍
御殿場 静岡 324.5mm 250mm 1.30倍
有東木 静岡 322.0mm 250mm 1.29倍
春野 静岡 288.0mm 250mm 1.15倍
井川 静岡 287.5mm 250mm 1.15倍
鍵穴 静岡 286.5mm 250mm 1.15倍
富士 静岡 273.5mm 250mm 1.09倍
丹沢湖 神奈川 265.5mm 180mm 1.48倍
佐久間 静岡 264.0mm 250mm 1.06倍
静岡 260.5mm 250mm 1.04倍
高根山 静岡 248.5mm 250mm 0.99倍
作手 愛知 239.5mm 200mm 1.20倍
天竜 静岡 235.0mm 250mm 0.94倍
天城山 静岡 228.5mm 250mm 0.91倍
茶臼山 愛知 214.0mm 200mm 1.07倍
湯ケ島 静岡 204.5mm 250mm 0.82倍
南部 山梨 199.5mm 150mm 1.33倍
三ヶ日 静岡 198.5mm 250mm 0.79倍
白糸 静岡 196.5mm 250mm 0.79倍
阿蔵 愛知 196.5mm 200mm 0.98倍
海老名 神奈川 195.5mm 120mm 1.63倍
清水 静岡 191.0mm 250mm 0.76倍
新城 愛知 189.0mm 200mm 0.95倍
小田原 神奈川 178.0mm 180mm 0.99倍
蒲郡 愛知 176.5mm 200mm 0.88倍
銚子 千葉 176.0mm 120mm 1.47倍
三島 静岡 175.0mm 250mm 0.70倍
平塚 神奈川 173.5mm 120mm 1.45倍
静岡 静岡 169.5mm 250mm 0.68倍
東庄 千葉 168.5mm 120mm 1.40倍
豊橋 愛知 168.5mm 200mm 0.84倍
護摩壇山 和歌山 163.0mm 180mm 0.91倍
千葉 千葉 162.0mm 120mm 1.35倍
木更津 千葉 158.0mm 120mm 1.32倍
岡崎 愛知 156.5mm 200mm 0.78倍
横浜 神奈川 155.0mm 120mm 1.29倍
土肥 静岡 154.5mm 250mm 0.62倍
網代 静岡 150.5mm 250mm 0.60倍
龍神 和歌山 150.5mm 180mm 0.84倍
辻堂 神奈川 143.5mm 120mm 1.20倍
成田 千葉 142.0mm 120mm 1.18倍
京都 京都 140.5mm ----- -----
利島 伊豆諸島 132.5mm 200mm 0.66倍
栗栖川 和歌山 132.5mm 180mm 0.74倍
静岡空港 静岡 131.0mm 250mm 0.52倍
浜松 静岡 129.5mm 250mm 0.52倍
菊川牧之原 静岡 129.5mm 250mm 0.52倍
突発的な大雨ではなく、
梅雨前線による大雨は
予想されていました。


2日6時から3日6時までの
24時間雨量について検討すると、
静岡県、神奈川県で
予想を上回りました。

特に箱根では、
予想の2.72倍の雨量となりました。

予想である以上誤差があり、
予想より少ない場合もあれば、
予想より多くなる場合もあります。

予想より多くなってしまった場合は、
防災対策をより強化していく
必要があるでしょう。


雨量の記録更新(気象庁)
12時間 富士 静岡県 252.5mm 3日10時20分まで
24時間 天竜 静岡県 248.0mm 3日2時20分まで
24時間 三倉 静岡県 340.0mm 3日6時50分まで
48時間 富士 静岡県 451.0mm 3日9時20分まで
48時間 高根山 静岡県 416.5mm 3日10時40分まで
48時間 天竜 静岡県 363.5mm 3日7時50分まで
48時間 三倉 静岡県 475.0mm 3日12時10分まで
72時間 新島 東京都 432.5mm 3日1時40分まで
72時間 木更津 千葉県 350.0mm 4日1時40分まで
72時間 勝浦 千葉県 362.5mm 4日1時50分まで
72時間 富士 静岡県 512.0mm 4日0時30分まで
72時間 鍵穴 静岡県 456.0mm 3日10時50分まで
72時間 高根山 静岡県 476.0mm 3日24時00分まで
72時間 天竜 静岡県 408.5mm 4日0時30分まで
72時間 三倉 静岡県 534.5mm 3日8時40分まで
72時間 土肥 静岡県 381.5mm 4日0時10分まで
72時間 新城 愛知県 361.5mm 3日10時00分まで


なお、熱海市網代では、
72時間雨量について、7月として1位となりました。
(411.5mm、4日0時30分)

 

土石流領域(推定)7月3日に作成したものです。

地理院地図      kmlファイル(GoogleEarth用)

土石流は、熱海市伊豆山地区を流れる逢初川で発生した。源流で斜面が崩壊していることが確認されている。
源流付近では、谷地形を盛り土した形跡がある。研究者が、過去の標高データと比較しながら、定量的に分析中である。
土石流が確認されたのは、3日10時半頃であった。
複数回の土石流により、徐々に下流に堆積範囲を広げ、3日昼頃には海に達したとみられる。

 

逢初川土砂災害警戒区域(PDF)

土石流の長さは2kmにおよびました。逢初川流域は、土砂災害警戒区域(土石流)に指定されていたようです。

最初の土石流が谷を埋め、次の土石流は前の堆積物の上に乗ります。
土石流が流れたところが少し盛り上がると、後から発生した土石流は左右に広がります。
土石流が道路を横切ったところなどでは、泥流が広がる様子もツイッター動画で確認できます。
 

逢初川河川勾配

逢初川の勾配は、上流から下流までほとんど変わらないようです。
2000m流れて、標高が400m下がりました。400/2000=200/1000=200‰(パーミル)の勾配です。
角度でいうと11度くらいです。土石流は3度の勾配にならないと止まりません。
逢初川の土石流は、ひとたび発生すれば、海まで行ってしまう可能性が高いと考えられます。

瀬戸寿一先生「2021年7月静岡県熱海市の土石流災害に関する空間データの可視化と共有」

熱海市役所避難情報(とりおき)

国土地理院(熱海土石流)のページ

国際航業(空中写真など)

パスコ(空中写真など)

朝日航洋(伊豆山地形陰陽図)