関東を通過する秋の台風

関東地方には、ほぼ毎年のように台風がやってきます。下の地図には、台風の中心経路と、特に風が強かった地域を彩色しました(最大瞬間風速)。台風の経路の特徴と、特に強い風が吹く地域について、地図から情報を読み取ってみましょう。 

※図をクリックすると大きな地図が開きます

↑2011年台風15号(9月21日) ↑2012年台風17号(9月30日~10月1日)
↑2013年台風18号(9月16日) ↑2014年台風18号(10月6日)
↑2016年台風9号(8月22日) ↑2017年台風21号(10月23日)

↑2018年台風24号(9月30日~10月1日)

↑2019年台風15号(9月8日~9日)

↑2019年台風19号(10月12日~13日)

↑2022年台風8号(8月13日)
関東を通過していく台風の場合は、まずは東海地方に上陸して、関東を北東に進んでいくものが多いです。徐々に加速しながら北東に進む台風は、進路の東側でより強い風を吹かせる場合が多いです。また、地形の影響で、関東内陸よりも関東沿岸部がより強風になります。
秋台風の場合、日本付近に近づいてから、上空の偏西風の影響を受け、進路を徐々に東向きに変えます。偏西風に流される形で徐々に加速することになります。風は、陸上よりも海上の方が強く吹きます。陸上には山があって、摩擦による減衰がありますが、海上では摩擦が少ないのです。沿岸部は、海上からの強風が直接吹き付けるので、内陸より風が強まることが多いのです。神奈川県内では、特に三浦半島で強い風が吹きやすい環境にあります。
同じようなコースを同じような勢力の台風が通ると、ほぼ同じような場所で強い風が吹きます。台風の進路予想と、過去の台風の経路?勢力を照らし合わせることで、暴風?強風エリアを事前にある程度想定することも可能です。(風のハザードマップ)


※作図にあたり、国土地理院50mメッシュ(標高)、気象庁アメダス観測値、台風ベストトラックを利用した。

 

【異例の西進台風】


↑2018年台風12号(7月28日)
※左図をクリックすると大きな地図が開きます。

2018年台風12号(7月28日)は、
日本に近づいてから西に進むという
異例の経路となりました。
北日本を覆う高気圧に進路をブロックされて、
日本の南海上の上空の渦を影響を
受けたことが原因です。この台風で熱海のホテルでは高波でレストランのガラスが割れました。



※作図にあたり、国土地理院50mメッシュ(標高)、気象庁アメダス観測値、台風ベストトラック、天気図を利用した。

【最盛期の台風】


※マウスを図にのせると解説図が表示されます。

気象レーダーがとらえた台風の雨雲の様子です。
(2007年台風11号)

沖縄本島の西海上に、
渦状の雨雲がみられ、台風の眼が確認できます。

このように均整のとれた雨雲は、
最盛期の強い台風でよくみられます。

関東に近づく頃には、
東西の雨雲のバランスが崩れ、
台風の眼がぼやけた場合が多いです。

眼がはっきりしている最盛期の台風では、
目のまわりのドーナツ状のエリアで
非常に激しい雨が降っています。
台風が近づいて、内側降雨域に入ると、
その激しい雨が継続して大雨になります。

また、台風の中心から少し離れて、
らせん状に活発な雨雲の列が取り巻いています。

※背景地図の緯度経度は1度間隔です。緯度1度分が約111kmです。

※気象庁WEB、気象レーダー画像を切り取り使用した。

【台風の雨雲の立体構造】

台風の雨雲の模式図です。マウスを重ねると、空気の流れが表示されます。
台風の雲の直径(横)が300km~1000kmであるのに対して、雲の高さ(縦)は10~13km程度なので、上の図は、縦方向を10倍から30倍程度、強調していることになります。地表面(図では海面)付近では、まわりから高温?高湿の空気が流れ込んできます。その湿った空気が上昇気流となって、活発な雨雲を作ります。台風の上空ではまわりに向かって高温の空気が吹き出しています。台風の渦巻は周りからの湿った空気によって維持されています。海水温の温度が低くなると、湿った空気が少なくなり、台風としては衰えます。台風が上陸しても水分が少なくなり、やはり衰えていきます。

※気象関連書籍を参考に独自に作画したもの

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