「働くということ」講演会

 二年次以上を対象とする専門科目「経営労務論」の授業では、株式会社canuu代表取締役 濱田崇裕氏と、経営学部OBであるA(エース)株式会社最高執行責任者 出嶋翔氏、同じく駒澤大学OBでWinkle株式会社創業者兼、協同組合EMS代表理事 成田杜寿氏の3名をお招きし、「働くということ」についてのシンポジウムを開催しました(2023年10月25日)。

240412_keieiroumu.jpg


 コロナウイルス蔓延の影響で長期にわたり自粛を求められ、現役学生は対面コミュニケーションの機会が減り、自信をなくし主体性や積極性を忘れがちになっていた部分がありました。その状況に対して若い起業家3名から「学生らしい、時には無鉄砲な主体性や、積極性を奮い立たせてもいいのでは」という熱いメッセージが送られました。

240412_keieiroumu0.jpg

 濱田氏は現在、株式会社canuuで貨物運送事業並びに物流業界向けにWebサービス(ドライバー特化のSNSアプリや納品業務効率化サービス等)を展開されています。しかし、その経歴は紆余曲折を経たものだったそうです。一年の浪人を経て関西の私立大学に入学するも学校に行かなくなり、大手通信代理店でのアルバイトに注力。その後地方の国立大学に編入学をするも勉強に中々身が入らず、お金がなくなり、学費を稼ぐために休学して東京へ出稼ぎに。そこでは建設スタートアップ企業でマーケティングや経理等の様々な業務を体験しました。大学卒業後はエンジニアなどを経験するも、お金を稼ぎたいという動機が強く独立開業します。これまでの経験から得られた着想をヒントに建設業?物流業の日雇いバイトに特化したアプリをリリースし、有名企業から資金調達にも成功します。しかし、コロナウイルス蔓延の影響でサービスを終了。その後もいくつかのサービスを展開したそうですが、その中でも「ドラトーク」が軌道に乗り、現在では「ドラトーク」を中心に複数のサービスを展開し、大手企業や国土交通省担当者も参加する「未来の物流カンファレンス」(2023年7月11日)にもゲストとして招聘されたとのことです。迷いながらも決して捨てなかった強い信念と果敢なチャレンジが現在に結びついているのだと思います。

240412_keieiroumu1.jpg

 濱田氏はこうした経験を通して、どんなときも「本気で取り組むこと」が大事だと言います。苦境に面したとき、やるべきことが明らかになっているときはとにかく第一歩の行動を起こし、本気で取り組むことで将来が開けると説きます。また、ここで言う「本気」とはひとつには時間だそうで、あることに可処分時間を全力で注ぎこむことで量的?質的に優れた経験を積むことができるとおっしゃられていました。

 濱田氏の講演の後には、駒澤大学OBの起業家である出嶋氏と成田氏両名の紹介の後、パネルディスカッションが行われました。
 出嶋氏は経営学部経営学科出身で、アパレル企業への就職、起業を経て現在は最高執行責任者(COO)を務めていらっしゃいます。一度目の起業は金銭関係が上手くいかず、低迷期を過ごしたそうですが、その後参画した現在の会社では3期目で売り上げ10億円を突破し、現在は7期目を迎えているとのことです。

240412_keieiroumu2.jpg

 成田氏は経済学部商学科出身で、学生時代には学生コミュニティを立ち上げ交流会やイベントなどの企画活動に精力的に注力したそうです。また、在学中にお父様の会社である協同組合EMSに代表理事として就任し、2020年にはWinkle株式会社を創業されました。現在は協同組合EMSの活動に専念しつつも、Winkle株式会社で軽貨物運送事業を始めるなど精力的に活動されています(ここまでは受講生代表が執筆)。

240412_keieiroumu3.jpg

【授業後のミニレポートから】

 濱田氏のメッセージからは「目の前の現実と将来を結びつけるアドバイスをもらえた」、「新しいチャレンジのきっかけをつかめた」、「学生時代から本気であることの大切さを知った」等の好意的な感想がたくさん寄せられました。
 出嶋氏の「原因のない結果はない」、「目的が明確であれば進むことができる」、「他人からのアドバイスを素直に聞き入れること」といった提言には多くの受講者が感銘を受けていました。
 成田氏からの「起業する人は学生生活も真剣に過ごしている」、「学生時代のコミュニケーションも実は大切」といった体験談は現役学生が自身の日常生活を振り返る良い機会となったようです。

240412_keieiroumu4.jpg

【教員から】

 経営労務論は常日頃「働くということ」をテーマとして理論的な学修をしています。今回、3名の起業家をお招きし、人生のあるいは駒大の先輩から「働くということ」について個人としてどう関わるべきかのアドバイスをいただき、大変有意義な時間を持つことが出来ました。学期末に実施された授業アンケートでは回答者中8割の学生が次年度もこのような授業を設けるのが望ましいと回答していました。
 令和6年度経営労務論でも何らかの形で「働くということ」の企画を実施したいと思います。

(H.K.)