【絆vol.1】駒大卓球部の魅力に迫る
駒大体育会卓球部は創部70年を超える歴史があり、現在は長﨑隆志監督(42)の元で28人の部員が所属している。大学卓球における強豪校のほとんどが関東に集まる中で関東学生卓球リーグでは1部に所属しており、今年は7月に行われた全日本大学総合卓球選手権(インカレ)で日本6位の成績を残すなど、その躍進が注目された1年となった。
ただ強いだけではない、駒大卓球部の最大の魅力は「チーム力」にある。それぞれが自分の個性を持ってお互いに尊重し合い、お互いの良さを引き出していく。これはまさに【絆】であり、見る人を感動へといざなう。
本記事より駒大卓球部の「チーム力」の原点である【絆】を連載形式で読者の皆様にお伝えし、駒大卓球部の魅力を知っていただくと共に学生スポーツの青春や感動を味わっていただきたい。
記念すべき第1回は長﨑隆志監督と奥住祐太主将(経3、駒大苫小牧)のおふたりをゲストに、今年1年間の振り返りやチームの特色、今後の展望などをインタビューした。
監督×主将インタビュー
◇駒大卓球部について
――駒大卓球部で大切にしていること
監督「選手が自主的に、主体的にやるという事が大学生で大事な部分だと思っています。私が最初に出てしまうと選手はそれに追随する形、監督の指示ありきという形になってしまうので選手の考えが反映されない。そのためまずは選手にやりたいことを表現してもらうことを大切にしています。また社会人になっても常に思いますが、名前を呼ばれて挨拶されるっていうのは受け手の側は気持ちが良く、自己認識されている感覚があります。たとえ面識がなくても名前をしっかりと確認して挨拶をさせています」
主将「長﨑監督がお話しされたように自主性はもちろんなのですが、チームとしてはコミュニケーションを取りながら進めていくことを意識しています」
――選手が主体的に動くのはなぜか
監督「選手は選手自身の気持ちが入らないと全くモチベーションやパフォーマンスが続かず、言われてやるのでは気持ちが続きません。私が普段から学生にあまり言わないのは、学生が自分から『やるぞ!』という気持ちにならないとダメだと思っているからです」
◇今年の試合を振り返って
――今年のリーグ戦を振り返って
監督「チームとしては合格点、80点ぐらいの結果とパフォーマンスだったと思います。チームに不都合なことが起きても4年生がそこに強く言及せず、ムードを下げなかった。その事に尽きるんじゃないかな」
主将「尾中前主将を含め、4年生の選手やマネージャーが良い雰囲気を作ってくれたのでそれが結果に結びついたと思っています」
――ベンチの雰囲気について
主将「僕はベンチで見ていて『やっぱり駒大は強いんだ』と思い、誇らしかった。他大学のベンチの雰囲気は分からないですけど、駒大のベンチの雰囲気は本当に良いです」
――試合前の声出しに1年生の管や下村を起用していた経緯について
監督「管は口が達者でムードメーカー。ツッコミとボケもできて真面目でしっかりしたことも言える。非常にバランスが良くて管が声出しをするとムードが良くなります。
中心に関わっていないように見えるけど、下村がいつも頑張っていることをみんな知っている。大しておもしろいことは言わないですけど、それがむしろ面白いみたいな。気持ちを和らげるため、あえて下村という感じでした」
◇これからの駒大卓球部について
――主将になると聞いたのはいつ頃か
主将「今年の早い段階でした、だいたい春リーグ前ぐらいだったと思います」
――それを聞いた時どう思ったか
主将「まさか自分がなると思っていませんでした。一瞬動揺したのですが『やるからにはやってやろう』と思いました」
――部内の1年生の役割
主将「すごい下からも意見出してくれたり、3?4年生の尻を叩いてくれる存在でもあります。本当にチームに良い刺激を与えています」
――2年生はどうか
主将「2年生は個性が強い。それを上手く良い方に持っていくのが上級生の役割だと思っている」
――4年生のマネージャーの存在について
監督「2人は本当に全力で色んなことをやってくれて、それにチームも甘えていた部分もあった。もう引退してしまったので2人には『ありがとう』ということだけですけど、現チームで抜けた2人の大きな部分をどうやってカバーしていくかを考えて行かなければならない。色んな部分で選手も気付くと思うし、下のマネージャーも気付いていると思う。どう補うかが今後の課題なんじゃないかなと思います」
――現在のマネージャーについて
主将「もちろん業務的なことで助けて貰っていて、チームに良い雰囲気をもたらしてくれる。もっと選手の尻を叩いてほしい、強いて言うならそれくらいであとは完璧です」
監督「あまり表には出てこないですけど、府川や篠山はとても明るい雰囲気がある。府川は今田のような面倒見の良さがある。もっと選手の尻を叩く、そういった役割をしてほしい。篠山は底抜けに明るいので、チームが暗くなりそうな時は篠山が出てきて明るくして欲しいと思う。
川西?入江は本当にしっかりしている。きっちり仕事をしてくれるし、2人が居なかったら部内が回らないという感じになっている。それぞれ役割を徐々に意識してきているのではないか」
――今後1年の展望について
主将「目標は高くということで、去年の成績を超えること。昨年から良い雰囲気が続いてるのでそのまま崩さず、良いことは続ける。楽しく更に良いチームにして行きたいと思っています」
監督「新チームが始まったばかりなので奥住に期待する部分は1番大きいですけど、期待すればするほど硬くなってしまうこともある。チーム全員で奥住?長﨑を上手くいじってくれればチームの雰囲気は保てるかと。
尾中政権が居なくなってから痛感しているのは、やはり学年によって色は変わること。今はまだ奥住の色は見えていないが、それを自分たちで見つけていくというのが3月や4月までの作業だと思う。
色々な経験をして自分たちの色を見つけて欲しいと思う。『自分達はこういう事をしないとダメなんだな』って気付くと思います。今は何色でもないから何をやればいいかわからないし、尾中政権のして来たことをとりあえず崩しちゃダメだなくらいしか念頭にないと思う。
しかし奥住?白山?木村など、引退した4年生よりか卓球に対する熱量は大きい。そこが奥住政権の色に繋げて行けるのではないかと期待している。あまり1人で背負い過ぎず上手くやって欲しいと思います」
――卓球部がSNSで注目されることについて
主将「フォロワーが増えているということは、応援してくれている方が増えているということ。マネージャー様様です。チームのパワーを増やすひとつの手段だと思うので、応援してくれる人が増えるとチームとしてもうれしいです」
監督「私としては360度、カメラを使っていろんなシーンを配信したいという気持ちはあるが、いまのルーティンを回すので手一杯な所がある。卓球をやっているシーンはもちろん大事だと思うんですけど、それ以外のシーンもアップしてほしい。保護者の方々とOBの方々がメインの視聴者なので、大学で生活しているシーン、人生勉強をしている所を伝えられたら更に良いなと思います」
――本記事を読んだ人に向けて
主将「今まで駒大卓球部を知らなかった方にも知ってもらえるような活動、応援されるチームを目指していきながら、もちろん今まで応援してくれた方々にも感謝して頑張って行きたいと思います」
監督「みんな高校までは卓球を猛烈な熱量で練習してきて、大学卓球というと気持ちの維持が難しい所があると言われていますが、そんなことは無いと思います。卓球やスポーツに限らず、いつでも楽しい青春ができるということを伝えていきたいです。
また選手が楽しんでやらないとやる気がでないと思うので楽しんでほしいし、それが伝わればいいなと思います!」