DATE:2022.12.08仏教行事のおはなし
成道会
仏教学部 准教授 徳野 崇行
成道会は釈尊がブッタガヤーの菩提樹の下で悟りを開き、仏陀となったことを祝う法会である。禅宗寺院では「臘八接心」(ろうはちせっしん)という坐禅に専念する期間を締め括る儀礼となっている。日本では毎年12月8日に禅宗に限らず、多くの宗派で営まれているが、南方仏教では5月の満月の日に営まれており、釈尊に関わる祝日や暦が地域によって異なっていることを示している。
そもそもbodhi(悟り)の漢訳語である成道は、中国の儒教や道教の「道」の語意を踏まえたものである。仏陀やその教え、僧侶たち、そして教団を包括する言葉として今日では仏教という語を用いるが、明治期以前は仏教よりも仏道が一般的であったといわれている。そうした点で成道の語は仏道が大成されるという近代以前の語彙と通ずるものであり、仏教がもつ道を歩むという主体的実践を重視する特徴を示しているといえるだろう。
※ 本コラムは『学園通信354号』(2022年10月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。