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DATE:2017.09.12研究レポート
研究こぼれ話『人工知能ブームと私の研究』
経済学部 井上 智洋 准教授
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- 経済学部 井上 智洋 准教授
- 研究テーマは、マクロ経済学?貨幣経済理論。
私の本業はマクロ経済学であるが、学生時代には人工知能(AI)について研究していた。そのため、2013年くらいから副業として、経済学者の立場からAIについて論じるようになった。そうしている内に、AIブームがやってきて「このビッグウェーブに乗るしかないかな」という心持ちで、去年の7月『人工知能と経済の未来』(文藝春秋)という本を出版した。AIが人々の仕事を奪うかとか、経済成長を促すかといった問題を扱っている。
そのすぐ後、11月には『ヘリコプターマネー』(日本経済新聞出版社)という本も出版した。これは、マクロ経済学に関する本で、日本銀行のような中央銀行がヘリコプターで空からお金を撒くかのように、直接的に世の中に出回るお金の量を増やしたらどうなるかといった思考実験について論じている。
『ヘリコプターマネー』の内容の方が本業に近いのだが、この本はあまり売れず、副業として書いた『人工知能と経済の未来』の方は売れ行きが好調だ。それだけ世の中でAIが脚光を浴びているということだろうが、マクロ経済学者としては微妙な気持ちである。
おまけにAIに関する講演や記事の執筆を依頼されることが多くなって、本業であるマクロ経済学の研究は全く進まなくなってしまった。AIブームが終わったら少し寂しい気もするが、そうしたら、ようやく落ち着いて本業の研究に打ち込むことができるようになるだろう。貨幣というものの本質に迫るとともに、長期的なデフレ不況がなぜ発生するのかを解明したいと思っている。
※ 本コラムは『学園通信328号』(2017年7月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。
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