西日本広域豪雨(平成30年7月豪雨)
*災害の概要を把握するために、速報的に作成したものです。
【倉敷市真備町水害】*オンマウスで死者を表示*クリックで詳細図を表示
橙色彩色部分が国土地理院の解析による「推定浸水域(7日昼頃)。堤防決壊場所及び越水場所の情報は、国土交通省DIMAPS及びアジア航測撮影空中写真による。図中にマウスをのせると、地域毎の死者数が表示される(倉敷市発表18日時点)。カッコ内は不明者数。小田川は左右両岸で氾濫を起こし、真備低地のほぼ全体が水没した。国土地理院による最大浸水深は4.8mと解析されている。決壊地点に近い県立倉敷まきび支援学校によると、2階床部分まで浸水したようだ。現地調査をしているわけではないが、決壊地点に近い、箭田地区では流出家屋もあるようだ。浸水範囲は、ハザードマップで予想された範囲とほぼ一致していた(倉敷市真備地区ハザードマップ)。 (地理院地図作画機能を使用、死者?不明数は岡山県資料に基づく)*7/18情報更新 |
【GIS、SNSを活用した浸水被害地域の推定】
浸水被害が、深夜未明に発生したことで、被害状況の把握が難しかったと思われる。 Yahoo通行実績などから、車が通行がない地域は、浸水していると考えることができる。 また、SNSで発信された救助要請も、後日、その場所を調べると、 浸水地域と重なっていたことがわかる。 救援要請アプリを作り、救助活動と連携させれば、有効なツールとなりうる。 それらは、各社共通のシステムであることが望ましい。 |
【人的被害は高齢者に集中】
倉敷市内の死者は51人、そのうち50人が真備町である。年齢が確認できている死者48人のうち44人(91%)が65歳以上である。新聞報道によると、自宅で亡くなった方が多かったようである。就寝中で、2階への避難(垂直避難)がままならなかったのかもしれない。 (岡山県発表及び倉吉市役所発表災害資料を参考にしてエクセルで集計、グラフ化)*7/18情報更新 |
【深夜の避難勧告?避難指示】*倉敷市真備地区の気象情報?河川情報?避難情報
気象庁?国土交通省の情報(倉敷市関連) | 倉敷市の情報 | 避難所の様子(倉敷市発表資料より) | (参考)総社市の様子 |
5日18時30分 大雨警報(土砂災害)発表 | 5日15時39分 大雨警報(土砂災害)発表 | ||
5日19時40分 大雨警報(土砂災害?浸水)発表 | 5日18時30分 洪水警報発表 | ||
5日21時25分 土砂災害警戒情報発表 | |||
5日23時08分 洪水警報発表 | |||
6日9時25分 土砂災害警戒情報発表 | |||
6日19時30分 倉敷市内山沿いに避難勧告 | 6日21時までに、真備地区3避難所に39人が避難 | ||
6日20時00分 高梁川氾濫警戒情報発表 | 6日20時00分 高梁川氾濫警戒情報発表 | ||
6日21時30分 総社市全域に避難勧告* | |||
6日21時45分 高梁川氾濫危険情報発表 | 6日21時45分 高梁川氾濫危険情報発表 | ||
6日21時50分 小田川氾濫警戒情報発表 | 6日22時00分 真備地区全域に避難勧告 | (避難する住民が増え始めたとみられる) | 6日21時35分 大雨特別警報発表 |
6日22時20分 小田川氾濫危険情報発表 | |||
6日22時40分 大雨特別警報発表(倉敷市) | |||
6日23時45分 小田川の南側に避難指示(緊急) | 6日23時30分頃 アルミ工場で爆発 | ||
7日0時30分 小田川氾濫発生情報発表 | 7日1時30分 小田川の北側に避難指示(緊急) | 7日3時半頃 下原地区380人避難完了* | |
7日朝 避難所の人数を倉敷市役所で把握できず | 7日5時頃 総社市内の避難者数7300人* | ||
7日15時10分 大雨特別警報解除 | 7日15時、真備地区の避難者数、約3300人。 | 7日15時10分 大雨特別警報解除 | |
8日13時50分 土砂災害警戒情報解除 | 8日朝 総社市ボラティア活動開始600人* | ||
8日22時40分 大雨警報解除 | 9日2時、真備地区3避難所の避難者数1680人 | 8日22時40分 大雨警報解除 | |
9日朝 ボランティア高校生を中心に1000人* | |||
12日午後 服部地区に避難指示(誤情報) | 12日23時、真備地区4避難所の避難者数895人 | ||
13日19時35分 洪水警報解除 | 13日14時、真備地区4避難所の避難者数896人 | 13日19時35分 洪水警報解除 | |
避難勧告が22時、その2時間半後に小田川(箭田付近)で氾濫が始まった。避難指示(緊急)は1時30分頃に発表された。氾濫発生前に避難を完了すべきであるが、深夜の発表であり、多数の逃げ遅れを生じたとものとみられる。 (岡山気象台災害資料、国交省中部地方整備局河川情報、倉敷市避難情報等を表にまとめたもの。総社市の*は市長ツイッターによる) |
【避難者数の推移】
真備地区における最も早い避難は6日16時で、避難先が二万小学校(1人)で、あったことから土砂災害を心配しての避難であったとみられる。6日19時にも、岡田小学校に1人の避難があった。真備地区で明るいうちに避難したのは、この2人だけであった。 雨脚が強まった6日21時の段階で、岡田小学校14人、薗小学校2人、二万小学校22人であった。 その後、避難勧告?避難指示により避難者が急増したとみられるが、真備地区の避難所では避難者の集計ができない混乱状態になったようだ。7日15時になって、ようやく、岡田小学校2000人、薗小学校800人、二万小学校500人と概数が発表された。大多数が深夜から早朝にかけての避難となったと推定される。 隣接する玉島地区では、6日22時(53人)から7日3時(286人)に避難者数が急増している。 なお、吉備路クリーンセンター避難所の運営は総社市が行っている。 (倉敷市避難情報をもとに避難者数をエクセルで集計、グラフ化した)*7/18情報更新 |
小田川及び高梁川流域では、5日夕刻に雨脚が強まり、6日未明にかけて水位が急激に上昇した。6日日中は水位が一旦下降し、水防団待機水位を下回ったが、6日夕方から雨脚が強まり、7日未明にかけて再び水位が上昇している。矢掛(橙)と酒津(緑)の太線部分は「避難判断水位」を超えていた時間帯。東三成(赤)は、決壊した箭田に近いが、避難判断水位の設定はない。水位は標高値で示したが、真備地区の浸水域は、概ね14m以下の地域である。 矢掛における5日6時からの雨量は6日22時に200mmを超えた。5日6時から7日6時までの48時間雨量は252mmに達している。ちなみにハザードマップの想定雨量は、小田川流域では225mm(48時間雨量)で、100年に1度のレベルとされていた。事前に心配されていた量の大雨となり、心配されていた範囲が浸水したことになる。 (気象庁アメダスデータ、国交省水文水質データベース公開の水位データをエクセルでグラフ化) ※グラフ及び本文中の日付の誤りを修正(7/20) |
【真備地区の被災写真】
写真の撮影は麻田典生氏。撮影時刻は7月10日9時~10時(洪水から3日後)。
倉敷市真備町尾崎 呉妹駅近くの山陽道交差点 撮影場所標高は15.7m 写真右側は奥に向かって流れる 水路があり、増水時に溢水を防ぐ 止水板用の溝がある(①) 流されてきた乗用車(②)の 右側に漂流物が残っている(③)。 道路には砂泥の堆積がなく、 水流の流速が早かったようだ。 車庫(④)の向こう側に 小田川が左に向かって流れる。 水路と小田川の合流点付近で 小田川の左岸が破堤。 写真の撮影場所からは約140m 尾崎地区では4人が亡くなっている (ストリートビュー) |
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倉敷市真備町箭田 八田神社近くの旧山陽道 撮影場所の標高は11.5m 道路の左側にある漂流物は(⑤)、 左写真外にある 車庫に置かれていた 木製の工具棚のようである。 この場所では砂泥が堆積(⑥)し、 横断歩道が見えない(⑦) この場所から小田川の左岸堤防は、 写真の左方向に約650m この場所から小田川?高馬川合流点 小田川破堤箇所までは 写真の左後方約900m 箭田地区では11人が亡くなっている。 (ストリートビュー) |
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倉敷市真備町有井 レストラン四季紅前の旧山陽道 撮影場所の標高は10.5m 放置されたトラック(⑧)は、 写真外右の運輸会社の ものとみられるが、 浸水時の泥の跡が残っている。 斜めになっていることから、 後方が浮かんだ状態で 流されてきたのかもしれない。 この場所では砂泥の堆積が厚い(⑨) 写真の前方140m付近を 末政川が右に向かって流れる。 写真の右前方150m付近で 末政川右岸が破堤している また、写真の左前方340m付近で 末政川右岸が破堤している。 有井地区では15人が亡くなっている。 (ストリートビュー) |