西日本広域豪雨(平成30年7月豪雨)
*災害の概要を把握するために、速報的に作成したものです。
【前24時間雨量と大雨注意報?警報?特別警報】
青色実線は前24時間降水量。橙色破線で、平年の年降水量の1割を示した。 年降水量の1割を超えると、災害が起こりやすくなると言われ、 かつては大雨警報の基準値を決める際に参考にされた。 (現在は土壌雨量指数による基準で判断される) 大雨の際は、まずは「大雨注意報」が発表され、危険が高まると「大雨警報」に切り替われる。やがて、「土砂災害警戒情報」も合わせて発表され、最悪の場合には「大雨特別警報」が出される。 広島、志和、東広島、呉(以上広島県)では、6日夕方に雨脚が強まり、グラフの立ち上がりが急になり、24時間雨量が年降水量の1割を超えた。7日朝にピークとなり、年降水量の2割前後という記録的な大雨となった。広島は統計史上2位(7月として1位)、志和、東広島、呉については、観測史上1位であった。 帰宅時間帯に危険領域となり、暗い夜間に危険度さがさらに増したことにより、避難行動に大きな制約があったと推定される。土砂災害警戒情報が出てから大雨特別警報が発表されるまでの時間が短かった。 |
愛媛県?宇和島では、7日朝に雨脚が強まり、24時間雨量が年降水量の1割を超えた。7月としては観測史上3位。前日6日の段階で土砂災害警戒情報は出ており、大雨特別警報が発表(8日早朝)されるたのは約2日後であった。 |
【前24時間雨量と洪水注意報?警報】
青色実線は前24時間降水量。橙色破線で、平年の年降水量の1割を示した。 年降水量の1割を超えると、災害が起こりやすくなると言われ、 かつては大雨警報の基準値を決める際に参考にされた。なお、現在の洪水警報は、雨量ではなく、「流域雨量指数」による基準で判断されるようになっている。 洪水が懸念される場合は、まずは「洪水注意報」が発表され、危険が高まると「大雨警報」に切り替われる。なお、「洪水特別警報」という設定はない。もちろん、大雨特別警報が発表された流域では、50年に一度の記録的な大雨となっているわけで、洪水の危険度も高まっていると考えて差支えない。 高梁川水系小田川流域の矢掛(岡山県)の前24時間雨量は、6日昼過ぎに年降水量の1割に達した。夜にはいったん1割を下回ったが、深夜に雨脚が強まり再び1割を超えている。倉敷市真備地区の避難勧告は22時、倉敷市を対象とした大雨特別警報の発表は22時40分。報道等によると、7日0時前後から、小田川、高間川、末政川などで、氾濫がはじまったようである(小田川氾濫発生情報は0時30分)。 矢掛の24時間雨量は、7月としては1位の記録。 |
肱川流域の愛媛県?大洲の24時間雨量は、7日未明に年降水量の1割を超えた。この頃、洪水注意報から洪水警報に切り替わった。7日早朝にかけて雨脚が強まり、グラフの立ち上がりも急になっている。 大洲の24時間雨量は、観測史上1位となった。 |
【降水量予測の検証】
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7月6日から7日にかけての48時間の雨量について、GSM降水量ガイダンスと実況の降水量を比較したもの。データはいずれも気象庁による。GSMガイダンスは、気象庁の全球気象モデルの出力値から予測式も用いて算出されたもの。大きな誤差を含む場合があるので、そのままの数値は一般には公表されていない。GSMガイダンスは気象事業者などに1日4回配信されている。なお、岡山県?広島県で甚大な被害が多発したのは7月6日の夜である。 7月4日21時初期値(青)では、岡山県?広島県ともに50~100mm/48時間のまとまった雨が予想されていたが、予測としては過少であった(注1)。7月5日3時の初期値(緑)では、200~300mm/48時間の大雨が計算されるようになった。 7月6日21時の初期値(桃)では、岡山?広島両県で250~300mm/48時間と予想され、地点による誤差はあっても、記録的な大雨を予感させる値であった。災害発生24時間前の初期値で今回の大雨が表現できていたといえる。 (注1)むしろ、7月5日に80~120mmm/24時間の大雨が計算されていた。 |
1976年に台風17号によって 小田川が氾濫した。 その時の水位を示す石碑 倉敷市立川辺小学校内にある。 (川辺小学校kml) 「昭和五十一年九月十二日」 「台風十七号による浸水」 と刻まれている。 1976年の浸水深は 70cmほどだったが、 2018年の浸水は、 校舎の2階におよんでいるので、 4m近かったのかもしれない。 「浸水」の「水」の字は 埋まっているが、 2018年の水害で 埋まったかどうかは不明。 (写真撮影:麻田典生) |
WEB資料作成 平井史生