駒澤大学所蔵考古資料展「古代の瓦-紋様が繋ぐ東アジア-」(2016.5.16~8.7)
Date:2016.05.18
東アジアにおける瓦の誕生は、中国?西周時代(前11~8c)といわれ、戦国時代(前5~3c)には広く普及していきました。初期の瓦は半円形の瓦当面を持つ半瓦当で、統一秦の時代になると丸い瓦当面を持つ円瓦当が主流となっていきます。
瓦の瓦当面には多様な紋様が施され、特に仏教と関わりの深い蓮華文は、中国から朝鮮半島?日本へと広がり、仏教とそれに伴う寺院建築技術が東アジアへと伝播したことを示す重要な指標となります。
本企画展では、東アジアにおける出現期の瓦から、仏教の東伝を示す中国?朝鮮半島?日本の蓮華文瓦など、 駒澤大学が所蔵する東アジアの古代瓦コレクションをご紹介します。
展示室と主な展示資料
企画展示室1 瓦の誕生 ‐半瓦当の世界‐
東アジアにおける瓦の誕生は、西周時代(前11~8C)とされ、戦国時代(前5~3C)には広く普及するようになったとされます。初期の瓦は現在のように丸い瓦当面を持つ円瓦当ではなく、半円形の半瓦当でした。
企画展示室2 瓦当の様々な紋様 ‐円瓦当の世界‐
中国の瓦は、秦漢時代(前3~後2C)になると円瓦当が使用されるようになります。紋様では、雲文と文字文(秦漢式瓦)が主流となりますが、仏教が広まる北魏時代(4~6C)になると蓮華文が使用されるようになり、特に隋唐時代(6~10C)になると瓦の一般的な紋様となります(隋唐式瓦)。
企画展示室3 東アジアの仏教伝来と瓦 ‐朝鮮半島?日本の蓮華文瓦‐
朝鮮半島における仏教の伝来は『三国史記』などによれば4世紀とされますが、盛んに仏教文化を受容するのは高句麗?百済?新羅が軍事的な緊張関係に陥った6世紀のことでした。日本に仏教を伝えた百済では、6世紀前半から中国の南梁に対して仏教の経典や知識の他、工匠?画師などの技術者の派遣を要請していました。東アジアの造寺?造瓦技術の伝播は技術者の移動を伴う直接的な伝播であったことが分かります。
企画展示室4 古代日本の瓦 ‐蓮華文瓦の移り変わり‐
日本で最初の本格的な寺院建築である飛鳥寺の造営をはじめ、初期の寺院建築や瓦生産には朝鮮半島の技術者や渡来人たちが深く関わっていました。しかし、地方への寺院造営が広まるようになると、各地方で独自の特徴を持つ瓦や日本独自の紋様を持つ瓦なども出現します。