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ロシア語

駒大ではロシア語が学べます!

はじめに

駒澤大学でのロシア語の学びについて、ご紹介します。駒大では、選択必修や自由選択の授業で、ロシア語を学べます。ロシア語を学ぶのに向いているのは、どんな学生さんかというと、「ロシア語に少しでも興味があるひと全員」です。興味があれば、100%、続けられます。でも、あえて具体的にいうなら、次のようなかたが考えられます(あくまでも一例です)。

(1)文学?芸術に興味のある人
ロシア芸術のレベルは、はっきりいって、すごいです。その時々の政治の圧力をはねのけ、ヒューマニズムと自由の精神にあふれているので、世界中で愛されてきました。ロシア語の授業では、ロシア文学?美術?音楽についても、たくさん紹介しています。

(2)ロシアや国際情勢に興味があり、深く分析できるようになりたい人
ロシア連邦がいま大きく揺れているのは、ご存知のとおりです。隣国でもあるこの巨大な国が、今後どのような道筋をたどるのか。ロシアの言語や文化的背景に通じ、冷静に分析ができる人材が、これからの日本では求められていくでしょう。駒大には、日本国の外務省での実務経験のあるロシア語専任教員がおり、希望する学生には詳しい知識を提供しています。

(3)中央アジアなど、旧ソ連圏に興味のある人
ロシア語はソ連の公用語だったので、旧ソ連の多くの国々で、第一言語や第二言語として使われています。ソ連崩壊から30年以上たった現在、ロシア語の通用度は地域により差がありますが、とくに中央アジアでは今でも主要なビジネス言語です。新たな世界情勢のもとで、こうした国々と日本との関わりは強くなっていくでしょう。

(4)ほかのスラヴ系言語(ウクライナ語やポーランド語など)を、いつか学んでみたい人
東欧諸国の多くで使われている、スラヴ系の言語。文法などが似ているので、ロシア語の知識があるかどうかで、学びやすさが全く違います。私も経験があるので分かるのですが、ロシア語は「他のスラヴ語へのパスポート」です。そのため、東欧に将来、旅行や仕事で行ってみたい人にも、ロシア語はおススメです(旧ソ連以外の東欧地域では、ロシア語そのものは通じません)。
【お知らせ】
駒澤大学で正規授業として開講されているスラヴ語の授業はロシア語だけですが、2024年度から「ウクライナ語学習会」を新たに開催します(駒澤大学の学生対象の課外授業。単位にはなりません)。日本人教員による初歩の講座です。開講予定日は5月の半ば。既存の課外授業「ロシア語学習会」の関連催事として、開催します。くわしくは、「ロシア語学習会」ホームページ(後述)をごらんください。

上記は、あくまでも一例です。ほかの芸術分野(バレエ、演劇、アニメーション)、さらにスポーツ、宇宙開発、IT産業などに興味がある学生のかたも、ロシア語を学んでみてはいかがでしょうか。どれも、ロシアやロシア語圏が、世界有数の高い水準にある分野です。ロシア語は学び方にコツがあり、しっかりしたコーチがつけば無理なく習得できます。ロシア語を学べる大学はかなり稀少ですが、駒澤大学では経験豊富な教師陣が皆さんの学びを、しっかり支えます(授業の分かりやすさ、それに、やる気のある人への面倒見のよさには自信があります!)。

駒大ロシア語は本学の建学の理念に沿い、良識と慈しみ、平和の希求に基づく授業を行います。ロシア語の授業で紹介する知識が、世界を広やかに眺めるためのツールとなってほしい――これが駒大ロシア語の教員の願いです。

ロシア語ってどんな言語?

どこで使える?

ロシア連邦(人口1億4千万人)の公用語であるほか、主に旧ソ連の国々(中央アジア諸国やコーカサス諸国等々)で使われます。また、中東のイスラエルでも人口の5分の1(旧ソ連からのユダヤ系移民の方々)が、ロシア語話者です。まとめると、世界の陸地の6分の1にあたる広大な地域で、総計2億7千万もの人々が用いる「ユーラシア大陸の一大共通語」です。なお、ロシア語が通じる地域では、英語がほとんど通じないことが珍しくありません

英語の遠縁、スラヴ語の一つ

ロシア語は、インド?ヨーロッパ語族(英語もその一つ)の中の、スラヴ語派というグループに属する言語です。スラヴ語派にはほかにもウクライナ語、ポーランド語、チェコ語、ブルガリア語、セルビア語、クロアチア語などがありますが、ロシア語はこれらの言語と文法などが似ており、いわば親戚関係にあります。ロシア語を学ぶと、他のスラヴ系言語の習得も容易になります。

習った言葉がそのまま使える

授業で学ぶのは、現代の標準ロシア語です。ロシア語には方言の差異があまりないので、標準語を身につければ、ロシア語圏のどこでも通じます。また、歴史文献を読む場合でも18世紀末以降の文書なら、現代ロシア語の知識だけで十分に解読できます。

発音カンタン、文字がユニーク

ロシア語の発音には独特の力強さと、リズミカルな響きがあります。ロシア民謡やロシアオペラが世界的によく知られるのも、言語のそうした特性と無関係ではないでしょう。文字は、独自のロシア文字(キリル文字)を使いますが、英字と共通のものも多く、実はそれほど難しくありません(授業では、文字の学習はゆっくりやりますので、余裕でついてこられます。毎年、「楽しい」という感想が多いです)。

読み方は、英語よりやさしいです(いわば、takeをテイクではなく、普通にタケと読むような感じです)。文法は、単語の語形変化がやや複雑ですが(日本語なら「机が」「机を」と言うところを、ロシア語は「机」という単語自体を少しだけ変化させて表現したりする)、整然としたルールに沿ってこれを行いますので、ルールを覚えてしまえば楽になります。面倒な冠詞もありません(英語のようにa deskなのか、the deskなのかと悩む必要はありません)。

クレムリンと赤の広場(モスクワ、教員撮影)

希少価値、文化の魅力

学習者は日本ではまだまだ少なく希少性はありますので、興味のあるかたは、ぜひ学んでみてください。もちろん、ロシア語圏のスポーツや、芸術、宇宙開発などに関心のある学生も、大歓迎です。たとえば、この文章を書いている教員はロシア音楽の大ファンで、授業ではよく学生さんと一緒にチャイコフスキーの名曲を聴き、背景を解説しています。

今日のロシア語圏と日本

ロシア連邦と中央アジア諸国は、資源大国です。世界トップクラスの埋蔵量であるロシアの天然ガスと石油は、大量に日本に輸出されています(2023年8月現在、継続中)。また、中央アジア諸国はレアメタルの宝庫として、日本経済にとって重要な地域です。ロシア語圏の一般住民は親日的な人が多いので、言葉さえわかれば友人もできやすいです。

超特急はやぶさ号(モスクワ、教員撮影)

ロシア語を将来の仕事に役立てたい場合、ロシア語圏の国々と取引のある企業や、官公庁などへの就職が考えられます(本学のロシア語履修者のなかには、そのような進路を選んだ方もおられます)。

ロシア語教室のプロフィール

わたしたちは駒澤大学「総合教育研究部 外国語第二部門」の「ロシア語教室」です(全学のロシア語教育を担当する教員組織を、こう呼んでいます)。

駒澤大学には「ロシア語学科」はないため、ロシア語をやりたいひとは各自の所属する学部?学科で専門や全学共通科目の勉強をしながら、外国語の授業などを利用してロシア語を学びます。自分の専門をしっかりと磨きながら外国語力、そして国際感覚を高めてゆくというのは、社会で活躍するためにとても大切なことです。

駒澤大学ロシア語教室は、さまざまな内容(基礎?発展?会話?読解?文化)にわたる、日本の総合大学では珍しい充実したロシア語学習プログラムを用意して、学生のみなさんをお待ちしています。大半の学部?学科で必修外国語(1~2年次、週2回)として履修可能。そのほか、選択授業や課外学習会も多彩なラインナップで、希望者は4年次まで学習を継続できます(卒業までずっと外国語の学習機会のある大学は、必ずしも多くありません)。やる気次第では、卒業までに外国語大学並みのロシア語力に到達することも可能です。

ロシア語教室専属マトリョーシカ

現在、ロシア語教室は専任教員1名、非常勤教員9名という態勢となっています。受講者が5~6人から20人くらいの小規模授業が多く、アットホームな雰囲気のなか、きめ細かな指導を行っています。また、専任教員による学習会(課外授業)も随時行いますので、授業でつまずいた人や、さらに学びたい人は、ふるって参加してみてください(詳細は、外国語第二部門ホームページの課外学習会コーナー「ロシア語学習会」を参照)。

教員紹介

教授 三好 俊介
【ロシア語教室代表】
第一研究館6階 1621号室

専門はロシア文学で、詩を中心に研究しています。ただし、人形アニメのチェブラーシカも、国際情勢の解説も守備範囲だと、自分では思っております。大学でロシア語を学びはじめてから、はや30年。教育?研究のかたわら、実務(日本政府の外交や、通訳の仕事)にも携わりましたが、あっと驚くような楽しい経験や、いろいろ考えさせられる機会も多く、退屈したことは一度もありません。異文化を前にしたときの新鮮な気持ちを、学生の皆さんにも伝えてゆければと思います。ほかのスラヴ語にも多少は通じており、2024年度から課外授業のかたちでウクライナ語の学習会も担当いたします。

ロシア語あれこれ

ギャラリー

雪のペテル
雪のサンクトペテルブルク(芸術広場付近。教員撮影)


アレクサンドリンスキー劇場

サンクトペテルブルク(エカテリーナ2世像と
アレクサンドリンスキー劇場。教員撮影)


大理石宮殿

サンクトペテルブルク(大理石宮殿。教員撮影)

トピックス

はじめまして。ロシア語教室イメージキャラクターのマトリョーシカです! ふだんは研究室の棚で寝ていますが、ときどき妹たちと学内を散歩しています(見かけても餌をあげないでね!)。モスクワの土産物屋さんで働いていたところを、教室代表の先生にスカウトされて駒澤に来ました。「誠実そうなので、うちの教室にぴったり」なんですって。うふふ。

私、いくつに見えるかしら。新成人くらいに見えるかな。世界中からラブレターが届くけど、本当は百歳じゃ。マトリョーシカは百年ほど前にロシアで誕生しましたが、日本の民芸品(箱根七福神)を参考に開発されたという説が有力です。だから日本もロシアも私の故郷。みんなが互いの文化を尊重して、はやく世界が平和になってほしい。

 

さて、2018年6月、サッカーのワールドカップ(ロシア大会)が開催されたので、日本チームの試合があった都市の横顔を紹介します! あの暑い夏からずいぶん経ちましたが、サムライブルーの偉業を永遠に讃えるため、紹介文の掲載を続けます(ロシアの豆知識がたくさん書いてあります)。そのうち、ほかのロシア語圏についても紹介していくつもりよ。

サランスク Саранск / Saransk
モスクワのはるか東方、でもシベリアよりは全然手前、ヨーロッパロシアの真中にある、モルドヴィア共和国の中心都市です。「共和国」といっても独立国ではなく、ロシア連邦という一つの国を構成する地方自治体(「連邦構成主体」)の呼称で、いわば都道府県のようなもの。ちなみに、ロシアでは「県」という呼び名は使わず、ふつうは「州 область」で、かなり広めで首都モスクワから遠いと「地方 край」と呼んだりするのですが、ロシア民族以外のロシア連邦国民が多く住んでいると「共和国 республика」と呼ばれる場合があります。ロシア連邦は多民族国家なのです(ロシア語以外を母語とする人も、比率こそ少ないけれど相当の人口があります。ただ、彼らもロシア語は分かります)。

モルドヴィア共和国 Мордовия / Mordovia は地理的にはヨーロッパですが、アジア系民族のモルドヴァ人 Мордва / Mordvin(フィンランド人やハンガリー人と親戚)が約33万人住んでいて、域内ロシア民族の人口(モルドヴァ人の先祖がいる方もおられると思いますが登録上は約44万人)に匹敵します。その文化を反映してサランスク市内のビルも少し独特な、ロシア風でないデザインのものがあるので、ネットで画像を検索してみると楽しいと思います! 

なお、少しスペルの違う「モルドヴァ(モルドバ)共和国 Moldova」というのは全く別物なので、間違えないでね! こちらはずっと西、ロシアの国土の外にある独立国で(ただ、旧ソ連諸国の一つなのでロシア語はよく通じます)、隣国ルーマニアの人々と民族系統的に極めて近いヨーロッパ系民族が多く住んでいます。

エカテリンブルク Екатеринбург / Ekaterinburg
モスクワからサランスクより倍以上、どんどん東に行くと「ウラル山脈 Урал」という南北に走る長大な山脈に突きあたります。ヨーロッパはそこで終わり、その先はロシア連邦の中でもアジアに区分される地域、つまりシベリアになります。エカテリンブルクはウラル山脈一帯の中心都市で、人口145万。ソ連時代は革命家の名をとってスヴェルドロフスクと呼ばれていましたが、いまはロシア革命以前の名前に戻っています。

マヨネーズを愛好する街として知られます。ロシア人はもともと好きな人が多く、モスクワの日本料理店でもマヨネーズ入りの寿司がメニューにずらりと並んでいたりしますが、特にエカテリンブルクは一人当たりの消費量が世界一とのことです。冬は寒いので、こってりした味のものが欲しくなるのかもしれません。

ウラル山脈周辺は鉱物資源の宝庫で、特に大理石の産地として有名です。ロシアには大理石の建築がなんだかとても多く、記念碑などに限らず、地下鉄駅も国立図書館も大学校舎も、壁に大理石をふんだんに張った建物がざらにある(帝政ロシア時代に首都だったサンクトペテルブルクには、使えるところには全て大理石を使いましたという勢いの宮殿「大理石宮殿」まである)ので驚いてしまうのですが、それはウラル近辺を筆頭に大きな産地が国内にいくつもあるからです。

ヴォルゴグラード Волгоград / Volgograd
市名は「ヴォルガ川の街」の意味で、人口は100万ほど。ヴォルガ川はロシアを代表する河川で、全ヨーロッパで最長(全長3530キロ)、「母なるヴォルガ Мать-Волга」と呼ばれます。ロシア最長のレナ川(4400キロ)は流域がシベリアのため、多くのロシア人(人口比でいえば現時点でロシア国民の75%以上がヨーロッパ区域に居住)にとって身近な大河といえば、やはりヴォルガ川です。

ヴォルガ川の本流は首都モスクワを通らず(モスクワ川はヴォルガ川の支流)、第二の都市サンクトペテルブルク(主要な河川はネワ川)からも遠いのですが、「母なるヴォルガ」の認知度は揺らぎません。モスクワ北西のトヴェーリ州の源流にはじまり、延々と東進してから真南に向きを変え、ヨーロッパロシアの奥座敷というべき街々をうるおしたのち、カスピ海に注ぎます。流域にはロシアの国産自動車製造の中心地であるトリヤッチ市など、産業面でも重要な都市が多いです。わたしもロシアにいた頃は、トリヤッチ工場製の人気車種「ラーダ Лада」でよくドライブに誘われたものよ。

ヴォルゴグラードも、そうしたヴォルガ沿岸の都市の一つで、下流部にあたるロシア南部に位置します。ソ連時代には、国家指導者の名を冠してスターリングラード(スターリンの街)と呼ばれたこともありますが、彼の苛烈な独裁政治が死後に批判された結果、いまの名前に変わりました。

第二次世界大戦(独ソ戦)の激戦地として有名です。この「スターリングラード攻防戦」の結果、それまでの街並みは壊滅してしまいました。市内の高台「ママイの丘」には、攻防戦を記念して、剣を振りかざす女性をかたどった巨像「母なる祖国像」が建てられています。

おしまい


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