教員養成の目標
駒澤大学 教員養成の目標
総合教育研究部 教職課程部門
駒澤大学が教員養成において目指しているのは、日本の中学校?高等学校の教員に不可欠な力量に加えて駒澤大学出身者としての良さを備えた人材の育成である。
中学校?高等学校における教科教育及びその他の教育に関する専門的知識?技能を十分に備え、深い人間理解にもとづく高いコミュニケーション能力を有し、生徒の全人間的な成長に支援的に関わることができるとともに、生徒が当面している事態を的確に把握し対応できる臨床的な能力を有する人材、さらに家庭や地域との連携も発展させることのできる人材の養成である。
『中学校学習指導要領(平成20年3月告示)』?『高等学校学習指導要領(平成21年3月告示)』の「総則」にあるように、教員には、教育活動全般において、生徒の個性を尊重し、生きる力を育み、人間として調和の取れた存在へと育っていくようにするための援助が求められている。教科指導においては基本的知識?技能の修得、思考力?判断力?表現力?主体的に学習に取り組む態度の育成が、また、道徳の指導においては、教員と生徒?生徒と生徒の関係を深めること、自然体験や職場体験やボランティア等の機会を提供するなどが求められている。道徳には、生徒が豊かな心を持ち、生命?人間?伝統?文化?自然環境?他国等を尊重し、社会秩序や勤労を重んじ、未来を切り開く主体性のある日本人として育っていくことが含意されている。
本学が目指すのはこうした重責を担える人材の養成である。
駒澤大学の建学の理念は、仏教の教義並びに曹洞宗立宗の精神を大学教育に生かすというものである。それは、すべては関係の中にあるという事実に気づくことが他者の尊重と自律的な人生の創造につながるということと、日々自己研鑽に努め他者に貢献することは自己を生かすことに他ならないということとを基盤として教育を行うことである。この理念は本学教職員に共有され、日常の教育活動に生かされている。
また、1年次必修の「仏教と人間」(4単位)や入学式等で配布される建学の理念に関する冊子は、こうした関係論的?実践的な発想に学生が直接出合う機会を提供するものである。
この理念は、上記の道徳の指導力ととりわけ密接な関係を持つが、上記の諸課題全体に関係するものである。この理念は、現に私たちが取り結んでいる関係に注目しその質を高めようとするものであり、一旦体得されればあらゆる場に浸透する性質のものである。したがって、それは、教員としての専門的知識?技術とあいまって教育実践に必要な鋭敏な感受性と柔軟な知性をもたらすことが期待されるものである。
駒澤大学には、伝統的な領域から今日的な領域までさまざま専門性をもつ学科があり、それぞれの特徴が教員養成に反映されるが、広い視野と柔軟で実践的な知性をもち、日常を大切にし、努力を惜しまず、生徒とともにあることに喜びを感じることができる教師の育成を目指す点では共通している。
このような教員養成を実現するために、本学では、教職員免許法?施行規則に定められた「教科に関する科目」と「教職に関する科目」の充実に努めている。殊に、「教職に関する科目」では、大人数の一方的な講義ではなく、学生と教員の間で双方向的なやり取りができ、グループ活動?研究発表?討論なども可能な規模のクラス編成にするよう努めている。また、教育実習及び介護等体験については、学科ごとにクラスを編成し、事前?事後指導を含め、学生一人ひとりに対し教員が責任をもって指導?支援を行う体制をとっている。
また、選択科目を多数開講しており、教職に関する幅広い専門的な知見を得ることができるようにしている。
さらに、授業以外の関わりにおいても、学生一人ひとりのニーズや状況に応じて、教職課程としてきめ細かく対応する体制をとっている。
また、全学の理解と協力のもとに教員養成を行うための組織として、教務部長を委員長とする教職課程運営委員会を設置している。
駒澤大学の建学の理念は、要するに、実践的で柔軟な知性を持った人材を育て社会に送り出そうというものである。それは、大学全体が目指していることであるが、とりわけ教員という職種で求められていることである。本学の建学の理念が真に教員養成に生かされるなら、環境問題やグローバル化の中で生じた様々な問題、課題を抱えた今日の社会に十分な貢献ができるであろう。